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名も無き場末のスナック

怒りは行動のエネルギーである。金髪おばさんと戦った思い出。

やばい、最近スナックへの足が遠のいてる・・・

なんでかっていうと、

今、平和なのだ。

いや、日々肉体はとても忙しいのだが、
心は平穏なのである。

平和だと、スナックでやさぐれるのを忘れちゃうんだよね。

いつだっけ、せっせとスナックブログ書いてた頃・・・

そうだそうだ、
夫の不倫が再発覚して腹がたってた頃だ。

そう。

私にとって「怒り」は行動を起こすエネルギー源であることを
認めざるを得ない。

怒りがあると、表現というエネルギーが湧いてくる。

怒りは「忌み嫌うべきもの」という風潮があるが、
怒りは、大事にすべき感情だと小夜子は思う。

小夜子はずっと、怒りを封印して生きてきた。

怒るのは悪いこと
大人げないこと
和を乱すこと

そう、言い聞かせてきた。

だから、大好きな寺山修司の言葉を見たときに感動した。

寺山は言っていた。

「一日一回怒りましょう」と。

今ならわかる。
怒りは、エネルギーになるから。

どうしようもない話を思い出した。

 

小夜子は昔、倉庫でアルバイトをしていた。

美容室に卸す製品を、ひたすら黙って箱に詰めていた。

その頃、小夜子はやさぐれていた。
友達なんか欲しくなかったし、愛想笑いする気力もなかった。

倉庫のバイトは、誰とも喋らなくていいから楽だった。

なのに、一人だけ嫌なおばさんがいた。

見るからに元ヤンの金髪のおばさん。

いつもタバコを吸って、同じ元ヤン中年チームとつるんでいて、
なんなら影のリーダー的存在だった。

小夜子は黙って箱詰めする、何も害のない人間なのに。

なぜか元ヤン金髪おばさんは、小夜子にだけ厳しかった。
厳しいっつーか、理不尽だった。

客観的に見ても、小夜子とその他のバイト達の箱詰めの仕上がりに
違いがないと思われるのだが、
小夜子にだけはいちいち文句をつけてくる。

その文句の内容が、どう吟味しても理不尽だったのだ。

ムカついていた。

でも当時私は喋らないから、ひたすらそのムカつきを腹に溜めていった。

 

ある日、その「怒り」が沸点に達した。

でも、言い返すような理屈が思いつかなかった。

だって、相手も理屈で意地悪してるわけじゃないんだもん。
(理屈を思いつくような金髪おばさんではないのだ)

だから、決めた。

小夜子の数少ない長所=やる気になれば「大きな声」を出せる。

自分の強みを最大限に生かそうと決めたのだ。

 

相変わらず金髪おばさんは、私にイヤミを言ってきた。

その度に私は

できる限りの大声で返事をする、と独自のルールを己に課した。

 

「わかりましたー!」

とか

「すみませんでした!すぐやります」

とか

「ありがとうございます!!」

とか。
文字にすると、ものすごくつまらない内容である。

そのつまらない一言を、
その一つ一つの受け答えを

とにかく自分最大のボリュームで発する、と独自ルールを決めた。

 

倉庫の職員たちはその度に、作業の手を止めて私を振り返った。

そりゃそうだ。
それまでほとんど言葉を発しなかった、
見た目も地味で大人しそうな小夜子が、

倉庫内に響き渡る声で、いちいち腹の底から声を出し、応答をする。

何事か?と思うだろう。
その音量はどう考えても業務に必要がないのである。

 

でも、小夜子はムカついていた。
対処法はわからないから、とにかく大きな声を出した。

(しかし、言葉はあくまで丁寧に常識的にすること。というのも独自ルールである)

 

怒りだけが、エネルギーであった。

誰に振り返られても、呆れられても、そんなんどーでもよかった。

ただただ、大声で返事をするのを自分のルールにした。
怒りを行動に変える術が、当時はそれしか思いつかなかっただけ。

 

え、でもそんなことしたら、声枯れない?

あ、心配してくれました??

それがね、

私の決意はたった一日で終わりを迎えたのでした。

 

 

クビになったのである。

 

 

というのは嘘で、

その日を境に、元ヤン金髪おばさんは小夜子に意地悪しなくなったのだ。

仲良くなることもなかったけれど、
たまに「あんたもどーぞ」と言って、缶コーヒーをご馳走してくれる

わりと親切な人になってしまった。

 

なぜかはわからない。

小夜子は、倉庫に響き渡る(無駄に大きな)声で返事をした。

ただ、それだけだ。

 

それだけだけど、

きっと伝わったのだ。
私の怒りが。

溜めに溜めて、怒りが

「オイ、てめーの低レベルな意地悪になんか負けねーからな、見てろよクソババア」

言葉には出さないけれど、腹から出てきた気迫が伝わったんだと思う。

当時20代半ば。
若かったな~

あの頃の、怒りのパワーを忘れてないだろうか。

ふと、自分に喝を入れたくなった今夜であった。

 

最後に、
なんで金髪おばさんは小夜子をいじめてたかって?

それは、小さな嫉妬だったみたい。

小夜子の教育担当(新人に仕事を教える役)の金髪お兄さん。

いい人だったので、小夜子はこのお兄ちゃんとだけはよくおしゃべりしていた。

彼が意地悪おばさんの不倫相手だったなんて知らなかったからさー
(他に友達がいないから、工場内の人間関係を知る由もなかった私)

地味で冴えない小夜子だけど、まだ20代だったから、
金髪兄ちゃんと私が仲良くしゃべるのがおばさんには不快だったみたい。

私が辞めるときに、倉庫長(というのか?)の金髪おじさんがそう教えてくれた。
(金髪率高いなー)

今となっては懐かしい日々だ。

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